天皇賞秋はレース展開次第で優勝タイムが数秒も変わるレースである。2011年の天皇賞秋では1分56秒1という驚異的なタイムで決着がついたと思ったら、2014年の天皇賞秋では1分59秒台という遅いタイムで勝つこともある。全ては「展開」がカギを握っていると言っていいだろう。その展開を大きく左右するのが「逃げ馬」という存在である。
今年の天皇賞秋で逃げ馬として想定されるのがエイシンヒカリである。エイシンヒカリは大逃げを見せる馬で、東京競馬場で行われたアイルランドトロフィーでは直線で大きくヨレて大幅なロスがありながらも勝利し、前走の毎日王冠ではかつての名馬・サイレンススズカを彷彿させる逃げ切り勝ちなど才能を感じさせるレースが続いている。鞍上が逃げ馬の取り扱いが大変うまい武豊が騎乗し、エイシンヒカリのパートナーとして重賞も勝たせている。この馬次第ではペースが変わるとみて間違いないだろう。ここ数戦は1分を切るペースで逃げているため、これに追随する馬がいれば当然速くなるし、好きに逃げさせるとペースは落ちる。しかし、それこそがエイシンヒカリと武豊が望むレースになるため、どの馬かは追随するはずである。そうなると、優勝タイムも速くなり、1分57秒台はありえるだろう。
つまり、この時計で走っていない馬にはつらく、ゴールドシップのような末脚に欠ける馬にはきつい展開となる。先頭を追いかけるまでに脚をなくすレース展開だけは避けないといけない。そうならないためには向こう正面で前目につけていないと厳しいだろう。あとは、エイシンヒカリが大外に入ってしまい、うまく逃げられなければ多少はスローで流れる。そうなった時も末脚勝負なのでやはり前目の馬、内側を回ってきた馬にチャンスがめぐってくる。大外から回して勝つ場合はよほど切れる脚がないと厳しいだろう。そうなるとショウナンパンドラあたりは注意しておきたい。
といったように、上記の展開は一例だが、逃げ馬の存在というのはレース全体の展開を大きく左右する存在であり、逃げ馬がどういった行動を取るかによって馬券に絡んでくる馬も変わってくるということがおわかりいただけたのではないだろうか。展開を読むこととは、すなわち逃げ馬の行動パターンを読むことだと言っても過言ではない。天皇賞秋の展開を予想する場合は、まずは逃げ馬であるエイシンヒカリがどう走るかを予想することからはじめてみてはどうだろうか。